保険外併用療法

厚労省臨床的に話題もあった“保険外併用療法”の検討を視野に対応 厚労省はこのほど、長年の検討課題の一つでもあった、“保険外併用療法”について、関係者によれば、厚生労働省保険局長に就いた鹿沼均氏が、7月26日、専門紙の共同取材で、医療・医薬を早く活用できるようにするため、“民間保険の活用も含めた保険外併用療養費制度”の在り方について、検討を着実に進める考えを明らかにしたという。重要な政策判断になるが、民間の保険活用をも視野にしたとなればより注目される。因みに日本総研(当時:翁百合子日本総研副理事長)は10年前に、基本的な見解を表明していた(2014年5月)ので、見解要旨を紹介するが、改めて賛否が問われそうだ。 「市場開放を志向する“混合診療”は、保険診療の範囲を制限し、患者負担 が増えても構わない、という考え方に基づくものである。すなわち、所得や資産 の多寡(貧富の差)により受けられる医療に差をつけるものであり、我が国の 医療を根底から覆し、世界に冠たる国民皆保険制度を崩壊させるものである。 保険外診療が拡大し、保険診療が縮小する。所得や資産の多寡に関わらず、 受けられる医療の中身は同じほうがよいと考える国民の理解も得られない。推進論・技術論など必要とする、我が国が議論を重ねて創設した“保険外併用療法”は、国民皆保険制度 の中で、保険診療を平等に提供することを原則としつつ、イノベーションの進展に伴い、新たに開発された医薬品等や高度の医療技術を一定のルールの下、患者が自己負担により利用できるものである。 特に評価療養については、安全性・有効性の確保を担保として、将来の 保険収載を前提としている」のようだ。10年前と時代の変化、高齢化が推進する社会、医療を取り組む環境、毛剤的負担よ医療効果等再考すべく社会変化が来ている認識。 同時に医療の平等性医療の平等性については、過去5回の調査と同様の結果が示され、70.9%の国民が、「A:所得の高い低いに関わらず受けられる 医療の中身が同じである」ことを望んでいた。この傾向は、等価所得1別でも大きな変化は見られず、所得が高い人の間でも「B:所得の高い低いによって、受けられる医療の中身が異なることはやむを得ない」と考える割合は、約2割にとどまった。医療において平等性が重要であることについて、国民の意識は一貫して変化がないことが示された。翁百合子日本総研副理事長2014年6月に成長戦略と合わせて決定・公表された規制改革実施計画では、健康・医療分 野で、“保険外併用療養費制度”に新たに“患者申出療養制度(今回省略)”が導入 されることになった。 現行の医療保険制度では、保険診療と併せて保険外診療を受けると保険診療分まで全 額自己負担を求められるか、そうでなければ、患者がそれまで保険診療を受けていた医療機関で保険外診療を希望しても断られたり、別の医療機関を受診するように 勧められたりする。このため、中には希望した保険外診療を受けることを諦めざるを得ない人もいるという実情があるようだ。この問題の解決策として、2006 年、保険外併用療養費制度(評価療養、選定療養) が創設され、保険外診療であっても、例外的に保険診療との併用が認められるよう になった。 しかし、評価療養は、保険を適用できるかどうかの「評価」が主目的で ある。このため、申請から承認までに3か月から6か月かかる限られた医療機関 でしか受けられない、一定の基準を満たした患者に限定されるという点で、 しかし、必ずしも患者の切実なニーズに応えられない。その意味で、現在のいわゆる混合診療禁止の現状は、患者の選択権、一方で医師の裁量権を制約しているとされている点が考えられ、 患者申出療養は、こうした実態を改善する新制度として提案されているのだが、課題は残っている。国民皆保険制度を守ることを前提として、現行の評価療養では必ずしもそのニーズに応えられない困難な病気と闘う患者を救済することを念頭に、例外的制度として併用を認めている保険外併用療養費制度の中に、患者の切実な希望に応えられるような新たな仕組みを創設しようというものである。 医科からの議論が注目されるが、“過去に議論に縛られるのか”あるいは、過去を議論活かすのか“全体の患者の受診への影響、医療費・経済負担そして、財政負担の合理的説明の可否などから、応能負担論の浮上を想定しているのかも懸念される。時代が、政策を押し進めているかもしれない。「具体的にどのような対応政策・影響を含め、改めて議論が必要だと思う」「日歯は、既に理事会等で、議論はしてきたと思うが、“国民皆保険”堅持がポイント」「厚労省がこの時期に取り上げた理由も推察する必要がある。本質論から指摘すれば、」「その担保が問われそうでもある」と意見があった。