2025/03/28
一般社団法人お口プラスが成人男女200名を対象に「歯科クリニックでの歯のクリーニングに対する意識と行動」について調査を実施した。その結果、日本人の口腔ケアに対する考え方や、クリーニングを受ける動機、頻度に関する興味深いデータが示された。
歯のクリーニングを受ける人は約6割
「歯科クリニックで歯のクリーニングをしていますか?」という質問に対して、調査対象者の約6割が「している」と回答。一見するとクリーニングを受けている人が多いように見えるが、約4割は「していない」と答えており、歯科クリーニングの普及度にまだ課題があることが伺える。歯磨きや歯間ブラシ、フロスを活用して自宅でセリフクリーングを行っている人も多いと思うが、歯石や着色汚れ、タバコのヤニなどは自力で除去するのは難しい。やはりプロに行ってもらわないと完全には除ききれないようだ。 次に歯科クリニックでクリーニングを受ける頻度について、クリーニングを受けている人の中では「3~4ヶ月ごとに受けている」と答えた人が最多の45人。次いで「5~6ヶ月ごと」が22人、「7~8ヶ月ごと」が17人と続いた。お口プラスでは、3~4ヶ月に1回のクリーニングを推奨しているが、実際には生活習慣や口腔内の状態により適切な頻度は異なる。歯科医師と相談しながら、個々に合った間隔で通院することが求められる。 「歯のクリーニングでどのような効果を期待していますか?」という質問には、「虫歯や歯周病の予防効果」が最も多く56人。次いで「歯石の除去効果」が46人と、健康維持を目的とする回答が目立った。 保険適用だと知らない人が多い?
クリーニングが保険適用という認知の低さ
「治療目的での歯のクリーニングは保険が適用されることを知っていますか?」という問いに対して、「知っていた」と答えた人は93人で半数に満たなかった。一方で107人は「知らなかった」と回答しており、保険適用の周知が不足していることがわかった。実は2020年4月の診療報酬改定により、治療目的の定期的な歯のメンテナンスは保険適用対象になっているのだが、そのことを知らない人も多く、「クリーニング=自費」と考えている人もいるのかもしれない。 調査結果では、ホワイトニングとクリーニングの違いについても触れられている。ホワイトニングは歯を白くすることを目的とした審美的な施術であり、保険適用外だ。一方、クリーニングは歯垢や歯石、着色汚れを取り除き、口腔内の健康維持を目的とするため、治療目的であれば保険適用となる。もしかしたらホワイトニングとクリーニングを混同している人もいるのかもしれない。 歯科クリーニング市場は、予防医療への関心の高まりとともに拡大が期待されている。しかし、今回の調査結果からも明らかなように、クリーニングが保険適用であることの認知の低さや、保険診療と自費診療の明確な違いを患者サイドがわかっていないことが気になる。 口腔ケアの習慣は虫歯や歯周病の発見だけでなく、もっと重要な病気を防ぐことにもつながることが昨今話題になっている。虫歯や歯周病が進行すると歯茎の炎症から細菌が血管内に侵入し、脳梗塞や心筋梗塞、動脈硬化、糖尿病などの重大な病気のリスクを高める可能性があるからだ。歯の健康だけでなく全身の健康を維持するためにも、歯科クリーニングを定期的に行うことをお勧めしたい。

