2024/08/05
桜井議員コラム“国立病院の限界”:臨床医学と法人大学の経営の狭間の悩み,東京医科歯科大学と東京工業大学の統合
歯科界の話題の一つ“東京科学大学のスタート”が10月1日に迫っている。大きな期待を背負い、次世代へ世界の貢献を求めていくようだ。まさに世界に“冠たる大学”目指すという。こうした中で、日本の国立大学への懸念するコラム(7月17日)があった。桜井充参院議員(自民党)のメルマガ。医師・国会議員(参院代予算委員会委員長)である。要旨は以下の通り。
国立大学協会の役員の方々の話のようだ。結論は「大学の経営は非常に厳しい状況で、もう限界」と訴えであったという。最大の原因は、平成16年に国立大学が法人化されたとき、医学部や歯学部がある大学は利益を出せるだろうからと、全体で約1兆円の借金を背負わせられたこと、としている。「大学の医学部の役割は、研究、教育、そして臨床医学であり、本来、大学病院に求められる臨床医学とは、一般の病院では診療できない疾患などに対し高度な医療を提供する、特定機能病院としての役割である」が本来のあるべき姿だと強調。 しかし、国立大学が法人化されてからは、“お金を稼ぐために一般の診療をやらざるをえなくなり、それが相当な負担になっている”という。
「解決が必要であるが、。 そのためには、この1兆円の借金の棒引きが最も有効である。それが無理なら、当面の支払いの凍結でも構わない。今、大学病院がやるべきことは、一般の診療を行ってお金を稼ぐことではなく、研究に力を入れ、その成果によってお金を稼ぐことである。財務省とよく議論していかなければならないことだが、なんとかこの大学改革を成し遂げていきたい」と強調。
国立大学の実情を指摘されると懸念するのが、昨年、国立大学法人法案」改正成立したが、設置義務の“運営方針会議”とされ、関係者kら、審議中に不安視が指摘されていな内容で、一般マスコミからは、医療界には看過されたが、国立大学病院の経営視点から、特に“歯科診療科”に対して、歯科関係者は完黙であった。一部の大規模な国立大学に運営方針の決定などを行う合議体の設置を義務づける国立大学法の改正法案の採決が11月17日、衆院文部科学委員会であり、ℤ民党などの賛成多数で可決された。“大学の自治”等の付帯決議あるようだが、重要なポイントである。医療界では、大学の研究、臨床、教育の本来の機能が万全に運営されていく担保を確保されているのかが、常に問われているという認識が必要。
オクネットニュース既報であるが、2023年11月20日、衆院本会議で可決された。改正法案であるが、簡潔に記すと以下の通り。大規模国立大に運営方針会議の設置を義務づけるもの。会議は学長と外部の有識者も想定する3人以上の委員で構成され、中期目標や予算についての決定などを行う。委員は文科相の承認を得た上で学長が任命する。「政府に批判的な人が承認を拒否されるのでは」「利益向上を第一にした人が任命され、いわゆる“儲ける大学”に移行するのでは」とする質問があり、診療科別の評価がされ、大学運営への貢献の要素にされるのではないかというものである。「総合大学での会議では、“歯科の存在”はあるが、従来通りでいいのか、他科の診療科・大学事務局から参考を資料配布がある」(元国立大学歯学部士学科長)という。「複数ある医系の中で歯系となるとは肩身が狭い思いになるのは当然。大学関係者などからは配慮した意見もあるが、だからこそ悩むこともあった」と振り返る。
「今は開業医で地域歯科に貢献。もう大学のことは知りません。後輩が数人頑張っていますが」(元東医歯大歯学部助教授)、「医学部・歯学部の敷地変化を見ればわかります」(元歯科同窓会幹部)、「対外的へのキャッチコピーはともかく、東医歯大の中で、どう評価されているかはノーコメントというか知りません。患者紹介はしていますし、頑張るだけです(笑)」(大学講師)。“コラムの指摘”から、国立大学さらにリンクして医療が問われて初めているようで、“歯科”は、敏感に対応すべきで、水面下の動きが心配される。
科学の進歩と、人々の幸せと。
その探求にこそ、私たちの進むべき道はある。
あくなき前進に不可欠なのは、
学問や研究分野、組織の垣根を超え、あらゆる知と技術とを融合させること。
一人一人の個性や想いを尊重し、豊かな人間性と創造の文化を育むこと。
より良い未来への変化を導くため、自らを意欲的に変革し続けること。
世界を切り拓く先駆者として、社会とともに新たな価値を創造し、
科学の可能性を拡張する。
2022年10月14日、「指定国立大学」に認定されている東京工業大学と東京医科歯科大学は、2022年8月9日に開始を発表した統合に向けた協議の結果、両法人並びに両法人がそれぞれ設置する大学を統合し、1法人1大学とすることについて、「法人統合及び大学統合に関する基本合意書」を締結した。2024年度中を目処として、できる限り早期の統合を目指している。統合によりh5-指標で東京大学に次ぐ日本2位の研究機関となる。
ふたつの大学の統合に至る経緯は、もともと月1回行われていた四大学連合学長懇談で頻繁に話す機会があったことなどから、工学系大学との連携の必要性を感じていた田中雄二郎東京医科歯科大学学長から益一哉東京工業大学学長に、2020年に、東海国立大学機構のような方式での統合の可能性を示唆したところ、反応が薄かったため、代わりに大学等連携推進法人制度を利用した共同の研究所の設置・運営が提案された。これを受けた益一哉学長から、さらに踏み込んだ形で1大学1法人方式での法人統合が提案された。